2013年5月23日木曜日

ああいえばこういう

 自分がなぜ「それいゆ」にたどり着いたのか.あるいは「それいゆ」しかなかったのか.それをメンバーが理解し受け容れるには時間がかかる.

 些細な日常をはなから小馬鹿にして,自分は出来ている,自分にはプログラム(メンバーごとに組まれるサポートの内容)など必要ないというメンバーの場合にはなおさらだ.そして長い時間の間には何度か大やけどを負うようなトラブルと出会う.大やけどで学ぶ人は幸いだが,このところああいえばこういうで,火傷から学べない人が少なくない.しかし失敗する自由は本人にある.生きてさえいれば何とかなるのだからと思って,早めに「それいゆ」から出て行くことを勧めることにしている.

 ああいえばこういう.その言葉はその人自身の不安と怖れを映し出している.

 一方で,淡々と心身の不調はありながら些細な日常をこなしていくメンバーがいる.続けていくことで人との距離をつかみ,人への信頼を育てていく.しかしその人もまた,かつては「ああいえばこういう」人であった.ふたつの分かれ目はどこにあるのか.これまで「それいゆ」を通り過ぎたたくさんの人たちの顔を思い浮かべながら,考えている.