2013年4月30日火曜日

大きな壁

 その後の移転騒ぎについてご報告.

現在のカフェ改築工事をしてくれたリフォームを専門とする会社さんより,「1Fのショールームがほとんど使われていないので,よければカフェをしませんか」と声がかかった.聞くとコミュニティにあったカフェが閉店し,付近に住民が気軽に立ち寄れる場所があったらいいと思っているとのこと.また,会社にとっては私たちのような小さなNPOへの支援がひいては社会貢献にもつながるという.正直なところ街中からはかなり遠くなるので,迷いながらも見に行った.

 けれどもあまりに今のカフェと同じ空気が流れていてびっくり.それもそのはず,ショールームには東川家具が並んでいる.広さもカフェとsama-ssamaのビーズづくりをおこなう工房部分とに分けてちょうどいいくらい.そしておそるおそる家賃を聞いたところ,水光熱費と冬場の除雪費用を半分負担するだけでいいという.思わず耳を疑う.何て言うことだと思った.でも,ここだけではメンバーが休んだり,個別の面接をする部屋,他のプログラムを行う場所はとれないため,そこから徒歩圏内で借りられる場所探しが始まった.

 現在のセンターの大家さんが紹介して下さった不動産が,その会社さんのすぐ近くにある貸しビルを見つけてくれた.しかも4Fのワンフロアを借りてくれる人を貸し主は探していると聞いた.2つの部屋を合わせると180平米はある.給湯室もトイレも占有となる.あまりの広さに思わず無理だと思ったけれどその後家賃等の交渉で,借りられるかもしれないという見通しが出てきた.そして書類を持って札幌市の建物建築課へ.そこではまたしても建物を福祉施設として使う場合の届け出や基準が大きく立ちはだかる.

 私たちは法人の身の丈を大きく超える物件を借りようとしているらしい.当たり前のことなのだが,この数年社会福祉施設で起こった火災のこともあり,建物の基準は厳しさを増している.メンバーの安全を考えたら当然なのだ.でも,そのすべてを小さなNPO法人の力だけでやろうとすると限界がある.私たちには病院や他の団体などのスポンサーがいない.国からの助成金は右から左に消える程度しか出ないのだから,自己財源を増やすには何かしらの事業をおこなうか,寄付等のお金集めをするしかない.でもそれに時間を使えば目の前の人と付き合う時間は削減される...何のためにやってるんだっけ!? そんなきもちになるはイヤだ.

 自分たちは大事なことをやっているという自負はある.

 でも,自分たち以外にも,もっともっと大事なことを,とっても少ないお金の中でやっている人は大勢いる.

 大きな壁にぶつかると,周りを恨みがましい目でみたり,ひがんだり,卑屈になる自分が出てきてびっくりする.そういう気持のままだとこの壁は越えられない.お金がなくとも,本当に心配して手を差し伸べてくれる人たちのおかげでここまでやってきた.あっちもこっちも問題だらけ.それでも自分がやりたいからやっている.どうしても大事だと思うから続けている.だったら前に進むしかない.連休中はそんな訳でたくさんの助成金申請書類作成に明け暮れようと思う.

2013年4月6日土曜日

生活訓練プログラム

昨年から生活訓練プログラムを始めているが,今年度は私が担当.

昨日は「食べる」の第1回目でテーマは「麺を食べよう」.一人ずつ自分が食べる麺を一食分持参して参加してもらう.野菜と少しのタンパク質(今回はベーコン・卵・とりのひき肉)を用意し,麺に応じてどう調理するかを相談してその場で実践してもらった.写真はカップ麺を持参したメンバーさんの完成品.ひき肉,もやし,ほうれん草をごま油で炒めて最後に片栗粉でとろみをつけ,カップ麺にのせてみた.本人曰く「満腹感が違う.いつもはこのカップ麺におにぎりがひとつ必要だけど,今日はこれだけでお腹がいっぱいになった」

 食べることから,いろんな気づきがある.ついでに下ごしらえ作業を見ているとこちらが分かることもたくさんある.絹さやを用意したが,初めて食べるという人,何年もその存在を忘れていたという人(つまり日常の食卓に何年ものぼっていないということだ),すじはどうやってとるか知らないという人などさまざまだ.

 調理後はみんなで食べながら感想を述べ合いプログラムを終了.「食べる」ことを通じて暮らしを感じ,つながりを感じ,生きることを考えてもらえるといいなと思う.

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2013年4月4日木曜日

新年度がスタートしましたが,とんでもない事態が発生!

 今日から25年度の新しいプログラムがスタートします.詳細はHP上にも近日UPするので見て下さい.

 さて,年明けから準備を進めてきた就労継続支援B型事業所の申請も大詰めを迎え、いよいよ札幌市に仮申請というところまで進んだ3月に思いがけない出来事が...現在の地活→B型へと思っていたら,ビル自体が完成検査を受けていない違法建築と指摘されたのです.おまけに3F建てなら消化設備を設置せよという消防署からの通告があり,このビルで就労継続支援B型はおろか地活も運営できないことになりそうです.

 なんてことだ.でもこのビルで活動を始めて8年目に入るというのに,なぜ今になってという気持です.たまたま訓練等給付事業ということで,札幌市としては建物に関する基準に合致するかどうかを調べていて明らかになったこと.地活のまま使っていたら分からなかった!?

 ふってわいた移転.せっかくここまで時間をかけて地域に浸透してきたカフェの存在.中心部に近いことでメンバーさん達からは通いやすかった場所.近所の商店街ともようやく顔なじみになれたのに.そしてなによりこのビルは大家さん(賛助会員)が私たちのために購入し,内装をすべて整えたくれた特別なもの.頭がグルグルなこの1か月でした.

 就労継続支援B型事業所開設は5月の予定でした.働いてくれる方の面接も終わり,採用内定通知書を出す直前の出来事.お二人に謝罪の電話をして事情を説明しました.ハローワークにも同様の謝罪とめまぐるしい1か月でもありました.そして地活は移転を条件に急遽すべての予定を変更し,昨年度の実績報告による単年度申請(分轄せず)で申請をしなおす連絡を札幌市へ.窓口のかたの迅速な処理で,なんとか地活だけでも継続することで今日を迎えました.やれやれ...

 移転までの時間的猶予はそれほどないために,カフェを継続するかどうか,どこへ移転するか,就労継続支援B型はどうするか等々,考えながらとりあえず新年度がスタートしました.内容としては昨年と同様に「就労を意識したプログラム」と「生活を立て直すことを意識したプログラム」の2系統が同時進行します.賛助会員のみなさまにも近いうちニュースレターで詳細をお知らせする予定です.本当にこれからどうしようと思っていますが,私たちが大事にしていることはちっとも変わっていません.いろいろな方達に相談しつつ,この危機をチャンスにしていけたらと思います.

 先日仕事で東京へ.寒かったので桜を遠目にみることが出来ました.来週はまた石巻市へ被災地支援で伺いますが,桜はまだでしょうか.

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