2012年7月5日木曜日

壁にぶつかる

 この5月から,北海道ダルクという,薬物依存症の人たちが
クリーン(くすりを使わない)で「今日一日」を過ごす
場所で,グループワークをしています.
 私は北海道ダルクの理事ということで,これまで主に
運営のサポートをさせていただいてきました.
 当事者のひとたちがスタッフで,「共に仲間として生きながら
クリーンになったばかりの人たちを支える」のがダルクの
援助です.なので,私のような非当事者が入ってグループワークを
おこなうのは極めて珍しいことと言えます.

 薬物依存だけでなく,それ以外の病気や障がいを併せ持つ
利用者が年々増えています.スタッフはみな「自分の体験」と
照らし合わせ,彼らが回復の道しるべとしている12ステップと
呼ばれるものに照らし合わせながら仲間の手助けをします.
しかし,それでは目の前の人をうまく助けられないことが
出てきました.
 私は「これまでの援助の体験」と「さまざまな精神疾患や
それによる生活の障害に関する知識と智恵」をよりどころに
彼らの話しを聞きます.そして新しい現象と出会った時に
調べる力と推察する力を使います.
 この両方がうまくかみ合うと,もう少しうまく手助けが
出来るのではないか.ダルクのスタッフ達と話し合いながら,
試行錯誤です.今日は「壁にぶつかる」というテーマで
いろいろな話しを聞き,みんなの体験を出し合いました.

 私はいつもホワイトボードを使うのですが,今日も
みんなの体験で一杯.書ききれないぐらいです.
「それいゆ」で当事者研究をするときと同じだなあ..
みんなの言葉にはいつも“はっと”させられ,ドキッとします.
男性ばかりのメンバーで,みな決して言葉が多くないのですが,
それでもこぼれ落ちる言葉の中に「なるほど」とうなってしまう
ものがあります.
 この10年は女性の援助に集中してきたのですが,
私にとっても大きな挑戦になりそうです.