2013年7月20日土曜日

助成金応募の前に

 今日の研修はひときわ興味深かった.「地域社会のために助成金をどう生かすか」というテーマで,助成金のあり方を考え,助成団体の方々と直接お話する機会もある貴重なものだった.今までに助成金をいただいた団体もあるし,初めて名前を聞く助成団体もあった.
 リカバリーがおこなっている事業の大半は,法律に基づくサービスに対する給付金と,自治体による単年度補助金が財源によってまかなわれているのだが,助成金をえることで出来る事業というのが存在する.しかもそれは助成金だからこそやることに意義がある事業だ.周りでも受けているNPOはあるが,なかにはなぜ事業(主にイベント)開催のチラシにこんなお金をかける必要があるのか.なぜ金太郎あめのように代わり映えのないセミナーに対してお金が出ているのか疑問な事業も多い.
 けれども今日の研修で私の関心をひいたのは,環境NPOの助成金事業報告だった.とにかくコンソーシアムのよいお手本だ.
 自身の反省をこめて,福祉系NPOはともすると自分たちの活動こそ大事だと主張する.頑張っているのに評価されないという不満をよく耳にする.確かにそう言いたい気持になることはあるのだが,どの分野の活動も大事なものだろうし,いい加減にはやっていないだろう.でも欠けているものがあるような気持になった.自分たちの活動を相対的な視点で位置づけることだ.近視眼的,視野狭窄のなかで革新的な発送やイノベーションは生まれないだろう.
 社会福祉政策そのものが抱えるたくさんの矛盾を,批判するだけでなく,全く異なる視点から飛び越える実践のアイデア.それが欲しいとつくづく思う.その発想はいかにして生み出していったらいいのか?どうすれば助成金につながるような形になるだろうか?基調講演の演者におたずねした.答えはシンプルなものだった.「まずはその課題に関連する3つの団体の人と定期的な勉強会をしなさい.研究者も入れるといい.そうして話し合いを重ねているうちに“必要だが形になっていないもの”が見えてくる.そうしたら,何を調査しあるいは研究すると形になる裏付けが出来るかが分かるだろう.そこまでになってきたら,調査に必要なお金がはっきりする.助成金はそのために用意されている」
 同じ課題が見えているはずの3つの団体と研究者.言葉が通じるかとか,感覚が違うとか,そんなことを言っていたら先の近視眼的福祉NPOとちっとも変わりがないじゃないか.自分の課題がはっきり見えた貴重な研修だった.助成金申請の前にやるべきことがある.