日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会(ASW協会)の被災地派遣で
何度か石巻へうかがっている.震災後,さまざまなメンタルヘルスの課題が
じわじわと見えるようになってきた.見えるようになるためには,時間が
必要なことがある.アルコールをはじめとする依存の問題もそのひとつだ.
地元の看護師さんや支援員さんと回った仮設住宅を前に,飲まないと眠れない
だろうな..と思った.そんな断片的記憶とともに3.11を迎えた.
街全体がそれぞれバラバラになりながら避難生活をしているひとたち.
家族もバラバラになったひとたち.誰一人として部外者ではなくて,この国で
起きた現実に向き合うよう与えられた試練.そのことに思いを馳せる日だった.
グループホームという生活の場を運営していると,こうした災害時に自分たちが
何を備えておく必要があるのか.そのことも考えさせられる.ライフラインが
絶たれた時にどうするのか,身の安全を確認したら矢継ぎ早にやることがある.
あれ以来,防災訓練はとっても現実味を帯びたものとなった.特にスタッフに
とっては.誰かが何ともしてくれない.メンバー達にもそのことを繰り返し伝え
備えていかなくてはならない.グループホームを退去し一人暮らしのメンバーも
多い.インフルエンザのときに飲料水や氷枕を自分で買いに行かなくては
ならない人たち.彼女達はどうやってその時を過ごして行くのか,私達はどこまで
出来るのか.
お金がないのは辛いことだが,3.11は人とのつながりが薄い人たちの
辛さをひしひしと感じてあれこれグルグルし,複雑な思いが続く一日だった.